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研究者挨拶

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金沢工業大学

環境土木工学科

宮里 心一

教授

北陸の交通の歴史

古くは北前船や北陸道で、越前・加賀・能登・越中・越後が結ばれていました。そして現代、北陸新幹線が敦賀まで延伸し、新潟県・富山県・石川県・福井県を結ぶ新しい交通網が整備されました。難所であった親不知・子不知を陸路で越えられるようになった国道 8号線と北陸本線、そして昭和47年~昭和63年に順次開通した北陸自動車道と合わせて、今回の高速鉄道も移動手段の選択肢に加わり、北陸地方の圏域内における快適な人流・物流ネットワークが道路と鉄道を組み合わせて整備されました。

SIPの開始

このような時代背景のもと、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を越えたマネジメントにより、国民にとって真に必要な社会的課題や、日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組むべく、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)が2014年度から開始されました。2019年度までの5年間が第1期として、2023年度からの5年間は第3期として、前述の社会インフラの老朽化対策に関連する課題も設定されました。

第一期の取り組み

北陸地方では、第1期の課題「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」に関して、金沢大学の鳥居和之名誉教授を研究代表者として申請した「コンクリート橋の早期劣化機構の解明と材料・構造性能評価に基づくトータルマネジメントシステムの開発」が採択されました。これにより、塩害やアルカリシリカ反応(ASR)による深刻な早期劣化を有する北陸地方の道路インフラに対して、人財・技術力・財源(ヒト・モノ・カネ)が不足する厳しい条件の中で、効率よく維持管理していくための、経済的かつ合理的な維持管理手法に関する新しい技術開発に取り組みました。

教育機関の連携

第1期SIPの活動後も、北陸地方の大学・高等専門学校(高専)に着任された若い教員も加入しながら、高等教育機関の連携体制を強化し、市町村の道路インフラの維持管理に係わる課題解決に向けた研究を推進してきた点は特長と言えます。

第三期の展望

そして、第3期SIPの課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」においても、北陸地方の市町村の道路メンテナンスに関する技術・仕組みの高度化・効率化ならびにその実装に向けた人材育成と活用の研究が採択されました。ものづくりやことづくりのみならず、ひとづくりも含むテーマであり、地方創生にも寄与できるチャンスととらえて、課題解決に向けて産官学の共創で取り組んでいます。また、普段は何気なく道路を利用している市民にも、道路メンテナンスの必要性を啓発し、自分事として捉えられるよう、SNSやマスコミ等も活用しながら積極的に発信しています。

協力のお願い

道路の維持管理に携わる土木建設業や道路を利活用する運送業の方々は元より、子や孫も住みやすい北陸地方を実現したい住民の皆様、そして北陸地方へ繰り返し足を運ぶ観光客やビジネスパーソン等にも、本研究プロジェクトへご理解とご支援ならびにご協力を賜りますように、何卒よろしくお願いいたします。

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